DavinciResolveの無料部分だけで360度動画のスタート地点を変更する方法
2018年10月4日 投稿者: たかなすび 4

DaVinciResolveの無料部分だけで、360度動画のスタート地点を変更する方法

360度動画のスタート位置を変更したい!



Thetaなどの360度カメラで屋外撮影するとき、太陽の方向にカメラの側面を向けないと、前後で色が変わってしまいます。

写真ならHDR合成があるので、かなりごまかせる訳ですが(それでもマニュアル撮影では使用出来ない!)、動画の場合はそれが出来ません。

ThetaVで動画を屋外撮影する時は光源の位置に注意

ハチワレを防ぐためにThetaの向きを整えて撮影すると、スタート地点があらぬ方向を向いてしまい狙い通りの動画になりません。

では、どうすれば良いのか。

無料でけっこうな部分まで動画編集が可能なDaVinci Resolveを使って、スタート位置を修正する方法をお教えします。
(結構な部分と書きましたが、360度動画じゃなければ、普通の動画作成ならほぼ全部出来てしまうんじゃないでしょうか…。)
DaVinci Resolve

有料でも無料でも、動画編集ソフトはたくさんあります。AdobeのPremiereやAftereffectなどが有名ですね。
でも、動画制作をするにあたって、別にプロってわけでも無いしそこまでお金をかけたくない!
かと言って、無料ソフト(アプリ)で編集するとへんなロゴが入って嫌!
なーんてわがまま放題思いながら、色々な無料ソフトを探していたところ、このDavinchiResolveに出会いました。
基本無料で、追加で299ドル払うと色々な機能が追加されるタイプです。



というわけで、今回はこのDavinchiResolveの無料部分だけで360度動画のスタート位置の変更をしてみましょう。
※DavinchiResolveで360動画を編集する基本的な使い方は、また別途書きます。今回はあくまで「スタート位置の変更だけしたい!」という方向けに書きます。

スタート位置を編集したい、素材となる動画を読み込み、タイムラインに入れます。今回は、静岡県の伊豆にある弓ヶ浜で撮影した動画を使ってみましょう。


これが元となるデータです。このデータをDaVinci Resolveに読み込みます。

0)事前準備
DaVinci Resolveを立ち上げ、最初に「新規プロジェクトの作成」→「ファイル→プロジェクト設定」を押します。
説明は省きますが、
1)「タイムライン解像度」を「Custom」に
2)「解像度」を「3840」✕「1920」に設定
3)「保存」を押します。
これで事前準備完了です。

1)素材となる動画を読み込む

と、こういう感じで動画をDaVinci Resolveに読みこむと、

不思議に湾曲した画像が、正面モニタに出てきます。慣れてくると「360度動画(画像)はこういうものなんだ」という気分になっちゃうから不思議。
さて、この湾曲した画像。OculusGoなどのヘッドマウントディスプレイだと、どこが正面になるのでしょうか。

簡易モニタの画面中央。ここが正面になります。そして両サイドが真後ろになります。
これをそのまま再生してみると

このように、海では無く浜の後ろ側が正面になっている動画です。
今回は、この動画のスタート位置が海から始まるように修正しましょう。

2)読み込んだ動画の位置をズラす
画像の赤丸部分を押します。

すると画面に白枠が出来ます。

これは左右上下好きに移動出来る状態になった、ということです。正面モニタの上をマウスで触ると、好きに動かせます。

これで中心にしたい場所を、画面中央にずらします。この動画の場合は海を正面に持ってきたいので、海が画面中央に来るように配置します。

この画像の右側、「変形」のところにある「位置」に注目してください。

Xが横軸、Yが縦軸です。これは最初に画面をロードした時は、両方「0」でした。このX軸が「1920」になっています。Y軸は「0」のままです。
RicohThetaVの4K動画は横幅3840px✕縦幅1920pxです。1920pxは、3840pxの半分なので、この画面はちょうど半分横にズラした事になります。
この操作は、まずマウスで好みの場所に持っていき、その後「区切りの良い数字を手で入力する」事をおすすめします。マウスで好みの場所を持っていくと、小数点下3桁まで指定出来てしまうので、この後の作業に差し支えます。

3)同じ動画を別のラインに乗せて、逆方向にズラす


もう一度、同じ動画をタイムラインの上の段に載せます。


この状態で、上にある動画を先程とは逆方向に動かします。
すると先程の「位置」情報が「-2066.24…」となっています。この数字を「-1920」に変更します。Y軸も「0」にしましょう。

数字調整で、タイムラインにある素材同士が重ったり隙間が出来たりしないように、ピクセル単位でくっつけます。
すると。


素材動画の全く真後ろを正面にした、スタート位置が変わった動画がモニタに出てきます。


これを「デリバー」して、動画ファイルとして出力します。


出力した動画を再生すると、先程のモニタ上にあった動画と同じものが出てきてしまいます。

4)メタデータを付ける
そのため、これを360動画だと認識させるための「メタデータ」をつける作業が必要になります。

Youtubeが公開している360度メタデータアプリをダウンロードします。
360° 動画のアップロード
このページの「ステップ2:アップロードの準備」をクリックして、360メタデータアプリをダウンロードし、解凍します。
中に入っている「Spatial Media Metadata Injector.exe」をダブルクリックすると、


このようにDOSっぽい画面が出た後、ウィンドウが出るので「Open」を押し、先程出力した動画ファイルを選択します。


そして「Inject Metadata」を押すと、「Saving File to…」と出てタグの書き込みが始まり、


終了すると「Successfully Saveed file to…」と出ますので、ウインドウを閉じます。


出力された動画を再生すると、360度動画として認識されています。

これで、好みの位置がスタート地点になった360度動画が作成されました。このやり方を使えば、上下左右好きな方向をスタート地点に再設定した動画が作成出来ます。

注意点としては、1ピクセルの隙間も作らず、かっちり付ける事。
出力予定の解像度と、読み込んだ動画の解像度を理解しておいて、ずらした位置の数字を切り良いものにしてピッタリにする事が大切です。

問題点としては、簡易モニタの中央が分かりにくいので、大雑把になること。
ピクセル単位でスタート位置にこだわるという人は(居ないでしょうけど)、あらかじめ映像データの解像度から中心点を割り出して数値入力がオススメです。(面倒なので私は適当にやってますけど。)